皇后さまゆかりの樹木や花が植えられている「ねむの木の庭」

画像:むの木の庭

http://fragmentinc.co.jp/gotanda/2011/07/nemunoki/

皇后さまのご実家跡地に作られたお庭

五反田駅の東口から少し歩いていくと、桜並木に囲まれた石畳の坂道が見えてきます。
木々の香りに鼻を擽られながら坂道を上り切ると閑静な住宅街があり、その一画にいつ訪れても花が咲いている空間があります。
そこが五反田にある区立公園「ねむの木の庭」です。
「ねむの木の庭」は、皇后美智子さまのご実家、旧正田邸の跡地に2004年(平成16年)8月26日に整備された175坪の公園です。
昭和9年10月20日に正田家の長女としてお生まれになった皇后美智子さまは、この地より昭和34年4月10日に民間初の皇太子妃として皇太子殿下(現・天皇陛下)のもとへ嫁がれました。
平成15年にこの土地を譲り受けた品川区が、皇后美智子さまがお誕生からご成婚までを過ごされた場所に相応しい公園として整備しました。
また「ねむの木の庭」という園名は、皇后美智子さまが高校生時代に作詞された「ねむの木の子守歌」や、皇室に入られた後にお詠みになられたお歌の中でも使われた、ゆかりの樹木「ねむのき」に因んで付けられたものです。
天皇・皇后両陛下がご成婚された当時を再現した門を潜ると、公園の中央にはシンボル「ねむの木」が植えられている他、皇后美智子さまゆかりの樹木やお歌の中で詠まれた樹木、草花が多数植えられ園内を彩り、訪れた方々が皇后美智子さまに思いを馳せて頂けるようになっています。
春や秋に訪れると、皇后美智子さまが皇太子妃時代の頃にイギリスのディクソン氏が命名し、1967年にエリザベス女王より献呈された薔薇「プリンセス・ミチコ」が咲き誇り、その鮮やかなオレンジ色の花弁と柔らかな香りで、訪れた方々の人気を集めます。

皇后さまゆかりの植物が植えられている

五反田にある「ねむの木の庭」の園内には、皇后美智子さまゆかりの植物など約60種もの植物が植えられています。
皇后美智子さまが高校生時代に書かれた「ねむの木の子守歌」の歌詞や、皇室に入られた後にもお詠みなられた「ねむの木」は公園のシンボルとして中央に植えられおり、またお印(徽章)であるシラカバもあります。
シラカバは春の新緑、秋の黄葉ともにとても美しい木です。
ネムノキの開花時期は6月~7月となり、夕暮れから花を咲かせ始めます。
淡いピンク色で、小さな羽箒を広げたような可憐なネムノキの花は、このときに訪れることで見ることが出来ます。
また、「ハマギク」なども皇后美智子さまがお詠いなられたことで植えてあります。
ハマギクは直径6cmほどの白い花で、9月頃から咲き始め、初冬くらいまで訪れる人々を楽しませてくれます。
もっとも訪れた人々の人気を集める、皇后美智子さまが皇太子妃時代の頃にイギリスのディクソン氏が命名し、1967年にエリザベス女王より贈られた「プリンセス・ミチコ」の開花は春と秋に見られる他、皇后美智子さまがお好きな「ゆうすげ」もあります。
ユリの仲間であるゆうすげは夕方に花を咲かせ一夜でしぼんでしまいますが、皇后美智子さまも何度かご覧になられたようです。
夜の閉園時間ぎりぎり訪れると、薄暗くなった夜空のもと、涼しいそよ風に靡く楚々とした黄色い花を見ることが出来るかもしれません。
ねむの木の庭には、特にプリンセス・ミチコなど薔薇の咲く季節に多くの人々が訪れますが、他にもクワやシャクヤク、アヤメ、カンパニュラ、キンギョソウ、クリスマスローズ、フッキソウなど四季を通じて一年中楽しむことができます。

両陛下の傘寿のお祝いで植樹した木もある

春夏秋冬、草木や花々で訪れる人々を楽しませ憩いの場となっている五反田にある「ねむの木の庭」ですが、公園のシンボルであるネムノキや人気のプリンセス・ミチコなどの他に、平成26年の梅雨頃から、もうひとつ訪れる人々の注目を集める植物が加わりました。
それは、天皇・皇后両陛下の傘寿のお祝いとして植樹された「タラヨウの木」です。
平成26年、天皇・皇后両陛下は80歳の「傘寿」のお祝いを迎えられました。
このことを記念し、同年7月2日に皇后美智子さまゆかりの地、五反田にある区立公園「ねむの木の庭」にてタラヨウの植樹が濱野区長によって行われたのです。
タラヨウは、かつて戦国時代に葉の裏に文字を書いて情報のやり取りをした「葉書の木」であり、葉書の語源になったとも言われています。
天皇・皇后両陛下が和歌を愛されることから、この木が選定され、そして植樹されました。
タラヨウはモチノキ科モチノキ属の常緑樹で、梅雨の時期が植付に適しています。
その長楕円形の葉は硬質でピカピカと輝いており、また大きく肉厚で、裏を傷つけると文字が書けることから「葉書の木」の他にも「郵便局の木」とも言われ、郵便局のシンボルツリーとしても見かけます。
花期は4月~5月頃で4mmほどの小さな淡黄緑色の花が群れて咲き、秋には8mmほどの小さな球形の愛らしく赤い実が見られます。
この「タラヨウの木」が植樹された日、石田区議会議長はこんな言葉をお祝いの言葉として送りました。
「このねむの木の庭に、またゆかりの木が増えます。
皆さんに親しんでもらえればと思います」。
その言葉通り、ねむの木の庭にある「タラヨウの木」は今現在も訪れる人々に慕われています。

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