東京都指定有形文化財として知られる「旧島津公爵邸」

画像:旧島津公爵邸

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大正時代に立てられた洋館

東京都品川区にある五反田駅周辺はオフィスが多くビジネス街として知られています。
五反田駅は3つの路線が通り、新宿や渋谷に行くのにも浅草などの観光地に行くのにも便利です。
品川駅や羽田空港にも近くホテルも多いため、最近は観光客にも人気があります。
五反田にも様々な観光スポットがありますが、旧島津公爵邸も人気観光スポットのひとつです。
旧島津公爵邸はJR五反田駅から徒歩10分の場所にあります。
昔から観光スポットとして知られる旧島津公爵邸は、清泉女子大学本館としても有名です。
旧島津公爵邸は大正時代に誕生した洋館です。
イギリス人の著名な建築家が設計した建物はイタリアのルネサンス様式の洋館で、現在まで残っている住宅建築の中では歴史的価値が高く見学に訪れる人も多いです。
数度の設計変更を経て大正4年に竣工し、調度品や設備が整えられて大正6年に披露されます。
島津家では新築披露のため名士を多数招待して盛大な園遊会を催しています。
昭和の初期になると金融恐慌がおこり島津家も財政的に大きな打撃を受けます。
島津家は先祖伝来の家宝を売りに出すほど経済的な苦境に陥ります。
広大な敷地も昭和4年には大部分を売却し、大邸宅も維持が困難になります。
結局この屋敷も銀行に売却されることになり、第二次世界大戦中に戦災を逃れた旧島津公爵邸は昭和21年1月にGHQの管理下に入って将校の宿舎として昭和29年まで使われることになります。
接収が解除された昭和36年7月に清泉女子大学が日本銀行から土地と建物を購入します。
清泉女子大学は神奈川県横須賀市に大学がありましたが、大学を五反田の地へ移転して現在に至っています。

島津公爵家の邸宅として使われてきた

島津公爵家の邸宅があった品川区東五反田は、江戸時代は仙台藩主伊達家の下屋敷があった場所です。
都内屈指の高級住宅地で、伊達家の広大な下屋敷は明治初年に旧薩摩藩主島津家の所有となります。
明治11年に島津家が東京の邸宅を移すときに新しい館が建設され翌年に完成します。
旧島津公爵邸は30代当主の島津公爵が建てたもので、古典様式を基調として白タイルを使った特徴的な外装になっています。
玄関の車寄せは巨大な柱を配している重厚なもので、南側にある庭園に面したバルコニーは一部が特徴的な曲線を描いています。
白タイルは当時最先端のデザインで、建物全体はT字型になります。
1階はパブリックスペースになっていて、南側に接客するスペースがあります。
北側は使用人が利用し、2階は家族の私的な空間になります。
1階にある応接室は美しい庭に面して並び、廊下でつながれます。
玄関のホールを中心にして島津公爵の書斎があり、家族の食堂と大食堂が配されています。
2階は島津公爵負債の寝室と子供部屋、浴室があります。
1階の暖炉は大理石の枠になっていますが、2階は木製になっています。
暖炉の彫刻やステンドグラス、天井の漆喰装飾は当時と同じ姿で残り訪れた人を魅了します。
島津公爵は兄たちが早世したために明治31年に父親の跡を継ぐことになります。
家督を相続した後は海軍兵学校に進み少佐に昇進します。
貴族院公爵議員に就任しますが、昭和金融恐慌により華族銀行と呼ばれていた銀行が破綻すると大きな打撃を受けます。
大正の栄華を極めた美しい洋館は、現在は清泉女子大学本館として活用されています。

清泉女子大学のシンボル

清泉女子大学は1950年に創立された4年制の女子大学で、その母体は聖心侍女修道会です。
キリスト教ヒューマニズムの建学精神を大学設立当初より実践しています。
少人数制の教育で知られ、まことの知とまことの愛を追求することを理念とします。
清泉女子大学の設立母体となる聖心侍女修道会は、マドリードで1877年に誕生しています。
1934年に聖心侍女修道会のシスターが日本に訪れると、女子学生を対象とした学校の開設に着手します。
キリスト教ヒューマニズムをベースとする豊かな人間教育を行い、国際的にも認められる女性の育成を目指して1935年4月に前身となる女学校が創立されます。
その女学校は太平洋戦争が始まった1944年に休校となり、翌年の1945年に空襲で焼失しています。
戦後になると神奈川県横須賀市に文学部だけの単科大学として清泉女子大学が設立されます。
戦後GHQに管理されていた旧島津公爵邸を接収解除後に銀行から購入し、1962年に大学を横須賀市から移転します。
清泉女子大学が五反田の地に移転し旧島津公爵邸を校舎とした際に、インターナショナルスクールも五反段に移転してきています。
2012年には清泉女子大学本館が東京都指定有形文化財に指定され、2017年には竣工100年記念行事が開催されます。
旧島津公爵邸は清泉女子大学のシンボルとして現在も多くの人々に親しまれています。
清泉女子大学では旧島津公爵邸の見学ツアーも開催し好評を博しています。
学生ガイドが旧島津公爵邸内を丁寧に案内してくれます。
このツアーは一般の個人を対照にしたツアーで、所要時間は40分くらいです。

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